【場所】多摩川右岸谷地川合流点上流(日野市栄町3丁目と日野市日野(飛び地)の境界付近))
【日時】2015年7月24日(金)18:20~19:40
【天候】曇り(晴れ間)
【観察者】渡辺仁、福本健、若狭誠
【ねぐら入りした個体数】約3万羽
【ねぐら入りした環境】ヨシ、一部オギ
【日没時刻】18:52
【ねぐら入り時刻】19:20(日没28分後)
【観察メモ】
22日に福本さん達が確認した集団ねぐらを案内してもらい、ねぐら位置を特定しました。
18:20 到着時から10数羽程度が草地上を飛翔している。なかなか数が増えない。
18:50 500羽程度に増える。
18:55 作業道(砂利道)の上に2百羽程度のツバメが着地しては飛び立つを繰り返す。
19:05 約1万羽に増える。上空をあまり飛ばず、低い位置を流れるように飛ぶ事が多い。
19:07 さらに増え、上空を乱舞するものも増えてくる。
19:08 ねぐら入りするツバメが少し出始める。ほとんどはまだ飛翔している。
19:15 大分暗く、ヨシ原上を低く飛ぶ大群のツバメがいる一方、上空を飛翔する群れは小さくならず
さらに多くのツバメが集まって乱舞する。
19:20 木の葉落としでほとんどがねぐら入りする。止まる場所を決められず低い位置を飛ぶものも結構いる。
【ねぐらの環境】
ほぼ、工事で伐採され最近裸地にされた地区の低茎草本群落が手前にある。ヨシ原も工事で裸地になった部分であるが、やや早く高茎草地となった部分らしい。ヨシ原はごく小さな面積が筋状、島状にしか分布していない。ヨシの周辺の多くはオギ原。オオブタクサ等も分布している。
ヨシについても、府中等のヨシと比較するとヨシの葉の密度が高い形状であり、葉には止まりにくそう。
ツバメが入ったのはヨシの部分が中心のように見えるが、ツバメは止まり場を探すのに苦労している(定位するまで時間がかかる)ように見える。頂部に止まりやすい場所があまり見つからず、低い位置にも相当数が入っているため、ライトスコープではツバメが隠れて見づらい。周辺部のオギも止まりやすい位置を一部使っているとともに、去年の刈れヨシ等止まりやすい場所、またヨシではない枯れた枝なども使っている。
総じて、ツバメの集団ねぐらの環境としてはあまり良くないと評価する。安定した集団ねぐらとしては期待できないかもしれない。ただ、工事後環境が激変している場所でもあるので、良い方向に進む可能性もあるかもしれない。
【所感】
タイミングとして、府中四谷橋下流の集団ねぐらが消失したところであったので、その集団ねぐらが移動したのではとの指摘もあるが、今までの多摩川でのツバメの集団ねぐらの基本的な分布状況や環境を踏まえると、
- 府中四谷からの距離(直線距離で6.6キロ上流側)がやや離れていること、
- 昨年からここに集団ねぐらがあったのではという情報がちらほらあること
などから、おそらく府中四谷の集団ねぐらとは関係ないだろうと考えている。
むしろ、2004年以降見失っている日野用水堰上流の集団ねぐら(2.5キロ上流側にあった)の系譜を継ぐ集団ねぐらを再発見したと考えた方が妥当ではないだろうか。
(渡辺仁)
ねぐら全体の環境。手前に伐採されたベルト状の低茎草地があるがその河川側にベルト状に広がる。

ねぐらの位置
ヨシ原が小面積ながら分布する。オギが多い。
作業道(砂利道)上に就塒前集合するツバメの群れ
ヨシ原上を飛翔するツバメの群れ
低く飛ぶツバメの群れは迫力がある
同上。
遅い時間になってから上空を乱舞した。
成鳥の多くが、風切羽の換羽が始まっている。

ねぐら入りしたツバメ。背景の建物は昭島市側。

ねぐら入りしたツバメ。ヨシ原にある別の植物の枯れ枝に止まる。